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モンベルの折りたたみ傘を使うべき建築目線からの理由とその素晴らしさ|mont-bell

「傘って昔からあるのに、全く進歩しないよね」という話をよく聞きます。

そんなの当然。なぜならば、モンベルがすでに傘の完成形を作っているからです。

このエントリでは、僕がこよなく愛するモンベルの折りたたみ傘の魅力をとおして、傘が進歩しない理由について考察します。

ダブリンで改めて気づいたモンベルの折りたたみ傘の魅力

10ヶ月暮らしたアイルランドはダブリンにて、今まで書いてきたプロダクト紹介シリーズの第3段である「機能は形態に従う。機能性とデザインが共存するプロダクト10選 part3〜海外渡航編〜」を書くにあたり、どうしても10選のなかのひとつとしてコンパクトに紹介できないプロダクトがありました。

参考:

 それが、今回紹介するモンベルの折りたたみ傘。

こがもう本当に素晴らしすぎて深く語るしかないと思い、このエントリを書くに至りました。 

というわけで、part3〜海外渡航編〜は別途書くとして、今回はモンベルの折りたたみ傘について、全力で紹介いたします。 

何がそんなに良いのか。

しぼりにしぼって、3つのポイントでご説明します。

アウトドアメーカーならではの強度と速乾性を兼ね備えた生地

アウトドアメーカーであるモンベルならではの、良質な生地。

この折りたたみ傘には同社のダウンジャケットにも使用されている生地が採用されており、撥水性は高く、強靭であることがすぐに分かります。乾いたときのさらりとした触り心地は、なでながら眠りたいほどの気持ちよさ。

特筆すべきは速乾性。

ダブリンでは、現場調査をしたところ壁内部の断熱材からカビが発生しており、救いようのない部屋に住んでいるのですが、そんな環境下でさえも部屋干せば一日で乾くという脅威の速乾性。

僕の部屋のやばさは、また別の機会で語るとして、まずはこの折りたたみ傘の生地の“やばさ”について書き記しておきます。

生地の縫製についても申し分がありません。

さすが、極寒などにも耐えうるウエアを作り続けるアウトドアメーカーだなと一目で納得してしまう、縫製のきめ細やかさが見てとれます。 

ジャケットの内ポケットにも納められる軽量さとコンパクトなサイズ感

僕が愛用している『U.L.トレッキングアンブレラ』というシリーズについては、その軽さとコンパクトさについても語るほかありません。

折りたたんでカバーを掛けたときのそのサイズは、なんと27cm。

重さについては、公式によると150gとのことですが、使っている実感値としては、もっと軽く感じます。

たとえるならば、革の長財布くらいでしょうか。濡れた折りたたみ傘をカバンの中に仕舞うのが嫌いなので、一時的に使用した傘はジーパンの尻ポケットや、ジャケットの内ポケットに入れることがありますが、それでもほとんど気にならない重量とサイズ感です。

一時的にとはいえ、ジャケットの内ポケットに仕舞うのは抵抗があるという方もいらっしゃるかもしれません。

それは生地の撥水性が解決してくれますので、ご安心を。撥水性に優れたこの折りたたみ傘は、バサバサと振ればほとんどの水滴は落ちてしまうため「一時的に使用した折りたたみ傘を、ジャケットの内ポケットに仕舞う」ということが抵抗なくできてしまうのです。

それでもなお、多少の水滴は残りますが、ジャケットへの影響は人体が汗をかくのとそれほど変わらないレベル。気にするほどではありません。

当たり前のことですが、折りたたみ傘とは、突然の雨に対応するためのもの。常に持ち歩くということが前提にある以上、軽量かつコンパクトであるという条件は外すことができません。

(ちなみに僕は、朝から大雨だという日でもこの傘を使用しています。長い傘は大嫌いなので。)

折れるべきところが折れる潔さとそのメリット

この折りたたみ傘を使ってみて、大抵のひとが驚くであろうことがあります。

それは折りたたむ際に、羽の中心部にあたる、写真の部分をポキポキと手動で折る必要があるということ。

通常の折りたたみ傘は折りたたむアクションのなかで、当該部分は自動で折れるはずです。

しかしながら僕は、少し特殊なこの関節部分にこそ、いちばんの魅力を感じています。

それはなぜか。

これをご説明するために、少しだけ真面目な話をしなくてはいけません。

地震に対する建築的な対策として、『制振構造』という考え方がある。

これは建物の柱・梁に加えて、地震の振動を制御・負担する制振システムを組み込む構造をいいます。

この制振システムは地震が起きた際に、地震の揺れをいちばんに負担し、大切な柱・梁に伝わる振動を抑制するのです。場合によっては予想以上の振動を受けた制振システムはその限界を超え、損傷することもあります。(もちろん通常、制振システムは損傷しないよう十分な設計がなされます)

もうひとつだけ例を挙げると、『エキスパンションジョイント』という考え方がある。

これはそれぞれ異なる性質(揺れ方の違いなど)をもつふたつの建物をつなぐ部分のことをいいますが、このエキスパンションジョイントは、地震が起こった際、次の写真のように損傷することがあります。

出典:林檎舎ニュース(https://ringosya.jp/kumamoto-jishin-expansionjoint-25345)さんより

ある震災の際に、一時、マンションが壊れた!とんでもないことだ!と騒がれました。

しかし、これはいたって正常な働きです。

揺れ方が異なるふたつの建物がガッチリとつながっている場合、異なる揺れ方が合わさることにより、建物全体に影響が出ることがある。それを避けた結果として、このエキスパンションジョイントが損傷し、建物全体の倒壊が免れているのです。

さて。地震が起きたときにいちばんに振動を負担する『制振システム』や、建物同士をつなぐ『エキスパンションジョイント』ですが、それらが損傷したとき、過失というより、本当に大切な建物全体を守るために「良い仕事をした」ということになります。

折りたたみ傘に戻ります。

関節部分に特徴のあるモンベルの折りたたみ傘についていえば、突風の際、このように風を受けた部分が裏返ります。

通常の折りたたみ傘であれば、こうなってしまうともう終わり。

アルミ製の骨は曲がってしまい、一瞬で寿命を迎えた傘は捨てざるを得ません。僕たちはそうやって何本もの傘を浪費してきました。

しかしながら、折れるということを通常挙動の一部と考えられて設計されているモンベルの折りたたみ傘の場合はそうはなりません。

折りたたむ際に手動でポキポキと折るこの関節部分が最初に折れることで、本当に重要な部分が損傷することを防いでくれるからです。

これは先ほどご説明した『制振システム』や『エキスパントジョイント』と同様に、折れる部分を限定することで、本当に重要な部分の損傷を防ぐということ。

つまり、率先して折れるこの関節は「良い仕事をしている」ということになります。

このように裏返ってしまった傘は、一旦閉じて、もう一度開き直せばすっかり元どおり。引き続きの使用に、全く問題がありません。

何度まで耐えられるかは定かではありませんが、突発的な風雨が多いアイルランドですでに何十回と突風に煽られながら、今のところ問題はありません。

日本で使用していた期間を合わせれば、もっと煽られているでしょう。

写真解説:別角度からの愛おしき関節部分

以上、モンベルの折りたたみ傘の魅力でした。

冒頭でも触れたとおり「傘って昔からあるのに、進歩しないよね」という話をよく耳にしますが、そんなの当然。モンベルがすでに傘というプロダクトの完成形を作っているからです。

天候が変わらない限り、人間の形状が変わらない限りは、これ以上、新しい傘の開発に時間をかけるのは人類にとって無駄でしかありません。

最後に、モンベルの折りたたみ傘について、レパートリーをまとめておきます。 

この記事でもご紹介し、僕が愛用しているシリーズ。カラーバリエーションも豊富で老若男女問わず、ご使用いただけます。

ちなみに、僕はチャコールグレーを使っており、アウトドアメーカーのものながら日本のビジネスシーンでも全く問題ないと感じます。 

 

こちらになるとその重量なんと、86g。「より軽いものを」という方には良いかもしれませんが、傘の骨が6本(U.L.トレッキングの場合は8本)であることと、収納時のサイズはほとんど変わらないことから、個人的には需要は限られると考えます。

個人的には「U.L.トレッキングをお使いいただければ、間違いない」という見解で締めたいと思います。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

ちなみに、後日やっと書き終えた「機能は形態に従う。機能性とデザインが共存するプロダクト10選 part3〜海外渡航編〜」はこちらです。