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Architecture and Things

家具デザイナー・長大作による『低座イス』を7年使って惚れた座り心地について

かつて「長大作」という家具デザイナーがいた。

2014年に亡くなってしまったその家具デザイナーは、ル・コルビュジエに師事した建築家・坂倉準三主宰の設計事務所でキャリアをスタートさせました。

そのキャリアのなかで建築設計を担当した「歌舞伎界の名門・松本家の邸宅」。その住宅設計のなかで長大作は、そこに配置する家具のデザインも行いました。

そこで生まれたのがこの「低座イス」です。ぽてっとした曲線が印象的なかたち。厚みのあるクッションは人の体を優しく包み支えます。

学生のころからずっとずっと欲しくて、初任給で買った低座イス。使い始めて7年が経ちました。あのとき背伸びして買って良かったなぁと、そんなことを改めて思い、満を持して低座イスの魅力をお伝えします。

 

何がそんなに良いのか。

しぼりにしぼって、3つのポイントでご説明します。

詳しく解説すると次のとおりです。

 

1.あぐらもかける、体をまんべんなく包み込むフィット感(座り方の許容性)

低座イスの座面と背もたれは、どんな体型の方にもフィットするよう大きくゆるやかに曲線を描いています。その曲線は、体型の幅広さを許容するだけでなく、どんな座り方をも受け入れてくれます。

個人的には低座イスの上であぐらをかいて、読書をしている時間が至福です。さらに完全に余談ですが、あぐらが似合う女性はとても素敵だと思います。(勝手なイメージだが、モデルのKIKIや水原希子など) 

 

2.お年寄りも立ち上がりやすい、絶妙な座面高さ(年齢の許容性)

もちろん、足を投げ出して座ることもできます。ここで特筆すべきは低座イスの絶妙な高さ。

その高さによって、足を投げ出した状態から膝を持ち上げ、「立ち上がる動作」を非常にスムーズに行うことができます。

お年寄りの場合、一般的なイスではリラックスできない、ソファだと体が沈み込みすぎて立ち上がることが難しい、ということが往々にして起こります。そんな悩みも解決してくれるのがこの低座イスなのです。

もちろん僕が愛用しているように、お年寄りだけでなくもっと下の年齢層にとっても十分に満足できる座り心地です。

 

3.ソファとイスのあいだ、自由に家の中でも持ち運べるかたち(場の許容性)

普通のイスとは言い難いが、ソファでもない。それらのあいだとも言える低座イスは、持ち運びが容易であることもポイントです。

気軽に持ち運べることができるため、リビングのなかで陽当たりの良い場所に持っていったり、それこそ、気合いのある方は車に載せて長期旅行に持っていったり。低座イス好きすぎ問題。

ちなみに、松本幸四郎さんは自宅で使っているものを楽屋に持って行くほどであるというエピソードがあります。(さすがに、今は楽屋用のものをご用意されていると思いますが)

そして場を選ばないのは、狭い範囲だけではなく広義においてもあてはまります。

低座イスのデザイン上、和・洋どちらの部屋にも合わせることができます。

やわらかい曲線に、特に側面から感じられる端正な佇まい、そしてそれらを包括する無駄な装飾のないかたち。

脚の部分をソリのようにわずかに外側へ向けることによって、たたみを傷ませないという配慮も備えたこの低座イスは、和室はもちろん、洋室にもどちらにも馴染むという独特の雰囲気を兼ね備えているのです。

 

簡単ですが、以上です。

細かいところを挙げれば、全て天童木工さんの国内工場でつくられているという品質の高さや、ため息のでるような接合部のおさまりなど切りがないのですが、

それは是非、実際に座ってみてご体感ください。

こういった記事では悪い点もちゃんと書いておいたほうが、多くの方に安心して頂けそうですが、気になる点がひとつもありませんでした。ごめんなさい。

こちらはどんな部屋にも合うチャコールグレーの座面。ちなみに、座面の布は張替えもできます。

お好みに合わせて、こんなデザインもお選び頂くことができます。

低座イスに合わせてつくられたテーブルは、こちら。

僕はテーブルの上で図面をがっつり広げたかったので、自分で図面を描いて家具屋さんに特注しましたが、天童木工さんで販売しているこちらのテーブルはびっくりするほど軽くて、何より脚と天板の継ぎ目が素晴らしい。こちらも声を大にしてオススメしたい逸品です。

ちなみに、今回のご紹介した低座イスはこちらのインタビューでも、ちらっと登場しております。

気になる方は、あわせてどうぞ。