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Architecture and Things

「青森県立美術館」青木淳

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青森県は青森市の「青森県立美術館」。
日本で最後の県立美術館として、2006年に開館しました。
この美術館は"土"という素材の扱い方が本当に上手い。


茶色い土と白いレンガのコントラストが綺麗なこの美術館。
その設計では、近くにある三内丸山遺跡の発掘現場から着想を得ており、発掘現場での土が切り込まれたような光景が所々で見られます。

「あおもり犬」が展示されている場所もそのひとつであり、床・壁ともに土で構成された空間になっています。

土に対して細かな石とセメントを混ぜて成り立つ「ハンチク」という素材。
コンクリートの壁にこのハンチクを吹き付けて、固まる前に形を整え、コーティング剤を塗りつける。技術が問われる工程を経たこの空間では、綺麗に仕上がった壁を目の前にして職人の技術の高さを感じることができます。


展示空間で使われる素材は、展示品を傷める有害なものが発生しないということが大前提にあり、選ばれるためのハードルが高い。
そのハードルを越えたこの土は、劣化した土が飛ばないようにと長い目で見たときの性能も備えており、メーカーの技術の高さもうかがえます。


真っ白な内装を基調にしたホワイトキューブの空間と、この土の空間。
これら相反する2つの空間がお互いを批判し合うことなく存在できていることに、さすがだなあと感じました。


美術館はあくまで箱であり、そこに展示される美術品が主役であるという仕切りがなんとなく存在している。
しかしここでは、縄文時代の遺跡の息づかいをまとった建築と、現代アートが見事に一体となっています。
特に、美術家 奈良美智氏の常設展示空間ではそれが感じられます。建築工事中からここに足を運んで深く観察を重ねたという奈良氏と、建築家 青木淳氏との対話の深さを感じるのでした。


建物のいたるところで見られる、木をかたどったロゴマーク。
「青い木が集まって森になる」ということを描いた青森ならではのこのロゴは、入口まわりにも設けられており、夜になると青く輝きます。
この光景がとても綺麗。機会があれば是非、夜にもどうぞ。


ちなみに、当美術館は今年の9月14日〜来年3月中頃までの間、休館となりますのでご注意を。震災により改正された建築基準法に合わせて、天井がより安全なものになるよう、ゆっくり休息するようです。

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 カフェスペースで食べられる「りんごとクリームチーズのタルト」。
これ、ほんと絶品なので是非ともご賞味ください!