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Architecture and Things

「根津美術館」隈研吾

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東京都は南青山の「根津美術館」。
都内で、心の底から大好きといえる場所。重要文化財など、日本が誇る数多くの一級品が収蔵・展示されています。
展示スペースの不足などの理由から、2010年にリニューアルされました。海外旅行者も多く訪れ、日本文化の顔となる美術館です。


それだけに、日本文化の良さをどのようにして建築にも取り入れ、"いかにも"という和風建築になり過ぎないかということに、丁寧に向き合った答えがたくさん隠されています。

当初からの施主要望であったといわれる瓦屋根の扱い方。
屋根の先端を切り放しの鉄板で覆い、そこから距離をあけて瓦を葺く。
一般的に、瓦と金属板との境界には、瓦を押さえるための部材をつけますが、ここでは敢えてそれを無くし、瓦の断面をむき出しにしています。
それにより、瓦屋根の手仕事感を抑え、現代的な雰囲気を実現しています。


屋根の裏側は、安価な仕上げ材料を用い、また、鉄骨の梁を敢えて見せるというところに真似のできないセンスと勇気を感じます。

美術館脇には広大な日本庭園。そして、そこに設けられた離れ。
「NEZU CAFE」と名付けられたカフェスペースでは、庭園を目の前にし、心地よい光の空間を体験することができます。


その天井の仕上げ材として、使われたシート。
湿気は逃しながら、防水機能を備えたこのシート(アウトドアウェアでいうゴアテックスのような性質)は、
通常、壁の中に使われる材料であり、表舞台に立つことはない。
天井一面に使用されたこのシートは、独特の模様を魅せながら、光を上手く取り込む役割を与えられています。

美術館はもちろんですが、個人的にこのスペースが特に好き。朝一番の静かな時間帯で過ごすのが至福です。

展示スペースについても、独立展示ケースの配線の方法など、ほんとは現地で語りたいことだらけなのですが止まらなくなるのでこのへんで。

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庭園を眺めながらの朝から一杯。(ああ、しあわせ・・)