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Architecture and Things

「NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)」日建設計

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東京都は大崎の「NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)」
どこにでもあるような普通のオフィスビル。ただし、普通なのは見た目だけ。人と環境のための繊細な気づかいが溢れた、優しいたてものです。

ビルの正面、頭から足元まで覆っているのは、大きなすだれ。すだれのパーツ一本一本は、多孔質の陶器でできた管になっています。ビルの地下に貯められた雨水が、すだれの管内を巡る。そうやって、雨水は循環しながら、陶器の肌からゆっくりと蒸発。この時の気化熱でビルの体温を下げていきます。 「バイオスキン」と名付けられたこのシステムは、ビル自身だけでなく、周辺の温度を2度も下げていることが明らかになっています。

ビルの裏手は、びっくりするほどの森。単なる緑化だけでなく、高層ビルの足元で起きがちな強風を防ぐという効果も。また、この森では太陽光発電もしています。リスが大好きな設計者の話しを聞いたところによると、この森は、リスがたくさんいるNYのセントラルパークのイメージが取り入れられているそう。

ひとつ、真面目な話をすると。

普通、高層オフィスビルはオフィス自体の面積を大きくする意図で、バルコニーをつくりません。しかし、このビルでは外の避難階段に繋がったバルコニーが設けられていることも、実は大事なところ。

9.11の際、建物内の避難階段が使えなくなり、炎に追い詰められたオフィスワーカーが高層階の窓から泣く泣く飛び降りた。
それをこのビルでは絶対に起こさない。当時の教訓がこのビルには活かされています。

必要悪と形容されがちなオフィスビル。似ている顔でもそれぞれに個性がちゃんとあるのは、美術館なんかとおんなじこと。そんなことを、帰宅中に思うなど。